【なるほど!】ゴルフ腰痛における姿勢の重要性

ゴルフで腰痛に悩まれている方は多くいらっしゃいます。

普段から腰痛を持たれている方なら尚更ですが、「姿勢」から腰痛を捉えることは非常に重要になります。

今回は、ゴルフにおける腰痛と姿勢の関係について、理学療法士の視点から解説していきます。

ゴルフにおける腰痛や腰椎の障害は、およそ25%の頻度で発生するとの報告があり、アマチュアやプロゴルファーを問わず発生頻度の高い障害になります。

これには、繰り返し動作による慢性的なストレスが一因であるとされていて、ゴルフ障害の多くが「オーバーユース障害」と言われています。詳しくはこちらも参考にしてみてください。>>【必見】ゴルファーの体の痛みと可動域の関係

ゴルフスイングで腰椎に障害をきたしやすいフェーズは、インパクトからフォロースルーに至るフェーズとされていて、特にインパクトや、スイング最後の腰椎のが伸びる(伸展)時には、大きな応力がかかると報告されています。

ゴルフスイングの姿勢

ゴルフのスイングにはいくつか特徴的な姿勢があります。今回はフィニッシュ姿勢についてお伝えします。

側方から見たフィニッシュ姿勢の理想は、「I型フィニッシュ」とされていて、腰部にかかる負担は少なくなります。

reverse(逆)C型フィニッシュ」と呼ばれる姿勢は、腰椎が過剰に伸展するため、腰椎に大きな負担がかかるとされています。具体的には、右利きのゴルファーの場合、腰椎の右の椎間関節、椎間板、腰椎終板を障害しやすいとされています。

この「reverse(逆)C型フィニッシュ」は若年ゴルファーや女性ゴルファーに多くみられる型ですが、小中学生の発育期のゴルフ選手では腰椎分離症などのオーバーユースによる腰椎の疲労骨折と位置づけられる障害の原因ともなり得るフィニッシュの形でもあり、注意が必要です。

左股関節の内旋制限があると体重移動を腰椎を過剰に反らす(伸展)ことで代償するため、この「reverse(逆)C型フィニッシュ」をとることがあり、腰痛を引き起こす可能性があります。

見た目的には、体が柔らかそうで、綺麗なフィニッシュに見えるかもしれませんが、実は腰部への負担が大きいフィニッシュの姿勢になります。

腰にかかる負担

さらに、プロとアマチュアでの腰椎にかかる負荷を比較した研究では、アマチュアの腰椎にかかる負担がより大きいことが明らかになっています。特にL3/L4のレベルでは、体重の約8倍の負荷がかかるとされ、これはアメリカンフットボールの選手に匹敵する負荷と報告されています。

スイングが早く、腰への負担が大きそうなプロで腰椎にかかる負担が少ないのは、負担の少ない姿勢をとっているためです。

プロでは、腰痛を引き起こしやすい脊柱起立筋の緊張が少なく、腰への負担を軽減しているとの報告もあり、やはり姿勢や効率的な体幹の使い方は非常に重要な要素になります。

腰痛があるゴルファーでは、外腹斜筋の作用が遅れることや、脊柱起立筋の運動時間が減少するなどの報告がされていて、腰痛予防の観点からも、体幹筋の筋力強化を行いつつ、適切なフォームでスイングを行うことが勧められています。

ゴルフスイングにおいて、正しい姿勢を保つことは非常に大切な要素になります。腰痛に関連するゴルフスイングの姿勢として、いわゆる「反り腰」があります。

反り腰」の姿勢は、骨盤の前傾が強く、腰椎の前弯が強くなった姿勢になります。

この様な姿勢では、腰を反らすために脊柱起立筋の過剰な収縮を伴っている場合が多く、腰椎の脊柱管も狭くなるため、筋肉性の腰痛や脊柱管狭窄症などのリスクが高くなります。

この様な姿勢でスイングを行うことで、さらに腰部には捻れるストレスがかかり、腰部障害の原因になるます。構造的なストレスをできる限り少なくするために、いわゆる「ニュートラルポジション」が理想とされています。

ニュートラルポジションとは、身体の関節が前後左右上下どこにも偏ることなく、中間(ニュートラル)な位置にある状態で、背骨の自然なカーブが維持され、身体が一番安定しやすい姿勢になります。

本来の関節の動きも行えるため、関節の可動性も良くなりますが、コントロールするためにはいわゆる「インナーマッスル」の筋機能が重要になってきます。

ゴルフスイングで重要になるニュートラルポジションを保つためには、体幹筋群や股関節の筋機能が重要になります。

今回は、その一部をご紹介します。

トレーニングは、それぞれの方の状況に応じて、負荷や頻度、運動方法が違ってきますので、参考までにご覧ください。

1.ドローイン

仰向けで膝を立て、お腹を凹ませるように下腹部に力を入れ、数秒間凹ました状態をキープします。

主に腹横筋を収縮させますが、多裂筋も収縮させられるため、トレーニングの初期によく行われます。

2.腹圧トレーニング

仰向けで膝を立て、腰とお腹に手を当てます。

腰とお腹の手を押し返す様に、お腹に力を入れます。

腰の筋肉を使わないように注意しながら、行ってください。

お腹に力を入れ、腹圧を高める感覚を覚えるためのトレーニングになります。


3.多裂筋トレーニング

四つ這いで、身体を真っ直ぐに保ちながら、片脚を後方に挙げます。

数秒保持して降ろし、両脚交互にこれを繰り返します。

骨盤をやや前傾位で行うのがポイントです。

4.骨盤前後傾運動

座った状態で、脚を軽く開きます。

骨盤を前方に傾けながら、腰を反らします。(骨盤の前傾)

次に、骨盤を後方に傾けながら、腰を丸めます。(骨盤の後傾)

骨盤のコントロールが目的のため、上半身ばかりが動かない様に注意し、骨盤を動かすことを意識して行います。

5.スクワット

両脚を肩幅程度に開き、90度まで膝を曲げていきます。

元の姿勢に戻り、これを繰り返します。

膝がつま先よりも前に出ないように注意しつつ、身体の傾きと下腿(スネ)の傾きが平行になるように姿勢に注意してください。

膝が内側や外側に向かないように、つま先方向に膝の向きを保ちながら行います。

6.プランク(フロントブリッジ)

うつ伏せになり、両肩の真下に肘をつき、腰を持ち上げます。

体が一直線になるようにしてください。

お尻だけが高くなる、腰が反るなどには注意し、必ず肩の真下に肘がくるようにしてください。

負荷が強い場合は、つま先ではなく、膝をついて行ってください。

7.サイドプランク(サイドブリッジ)

横向きになり、肩の真下に肘をつき、腰を持ち上げます。

体が一直線になるようにしてください。

腕で支えず、お腹の筋肉で支えるように、必ず肩の真下に肘がくるようにしてください。

負荷が強い場合は、つま先ではなく、膝をついて行ってください。

ゴルフにおける腰痛の多くが「オーバーユース障害」と言われています。腰への負担を減らすためにも姿勢は重要になります。「reverse(逆)C型フィニッシュ」や「反り腰」は腰に過剰な負担をかける要因になるため、ニュートラルポジションでの「I型フィニッシュ」が理想とされています。

正しい姿勢を維持するためには体幹筋群や股関節の筋力が重要になるため、これらのトレーニングを取り入れ、腰痛を予防するための体づくりを行っていくことが重要です。

まずは、今回紹介したトレーニングなどを取り入れてみてください。

E-Reha(イーリハ)では、ゴルフに伴う腰痛や姿勢の悩みに対して、専門的なカウンセリング(評価)を行い、個別性のある施術やセルフケアを提供しています。筋骨格系疾患専門の運動器認定理学療法士が、より専門的にサポートいたします。

ゴルフ障害にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

E-Reha(イーリハ)

〒880-0844  宮崎県宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸D2-1

宮崎市のリハビリ整体院、ゴルフ整体院

参考文献

1)東野恒作, 西良浩一:ゴルフにおける腰痛の治療.臨床スポーツ医学 33(3): 252-255, 2016.

2)江連智史:ゴルフ : ゴルフスイング動作を中心に.理学療法 34(11): 1041-1052, 2017.

3)岩本潤:ゴルフ障害・外傷の疫学.臨床スポーツ医学 33(3): 222-226, 2016.

4)鈴木貞興:ゴルファーに対する理学療法 – 私が求めた体幹機能 -.臨床スポーツ医学 33(3): 278-285, 2016.

5)小山佳恵:ゴルフコーチからみた理想とする効率的なスイング.臨床スポーツ医学 33(3): 228-233, 2016.

6)Gosheger G,et al:Injuries and overuses syndromes in golf. AM J Sports Med 31:438-443,2003

7)Gatt CJ,et al:A Kinetic analysis of the knees during a golf swing. Science and Golf III,FarralIy MR, eds, Human Kinetics, Champaign,20-28, 1999.

8)Film C:Rehabilitation of low back pain in golfers:from diagnosis to return to sport. Sports Health 5:313-319,2013.

9)Ezure T et al:Relation between the low back pain and rotation range of motion of the hip joint in the female professional golfer. 2013 ISSLS Meeting, Scottsdale, general posters, 197―198. ISSLS, Göteborgs, 2013 http:// www. issls.org/publication/

FAQコーナー

Q1: ゴルフスイングで腰に負担がかからない姿勢はどのような姿勢ですか?

A1: 腰に負担をかけない姿勢として推奨されるのは『I型フィニッシュ』とされています。この姿勢は腰椎をニュートラルポジションに保つため、腰への負担を少なくできますが、体幹や股関節をしっかりと使う必要があります。reverse(逆)C型フィニッシュ』は見た目が美しくても腰に大きな負担をかけるため腰痛の原因になるリスクがあり、注意が必要です。

Q2:簡単に始められる腰痛予防のトレーニングはありますか?

A2: 「ドローイン」や「腹圧トレーニング」「多裂筋トレーニング」などは簡単に始められるトレーニングになります。これらのトレーニングが行えてから、四つ這いや「プランク」などのトレーニングへと負荷を上げていくことが重要です。特別な器具も必要なく、自宅で簡単に行えるので、ぜひ行ってみてください。

Q3: 中高年のゴルファーが腰痛を予防するには?

A3: 中高年の方に限ったことではありませんが、腰への負担が少なるなるように、身体の柔軟性と筋力は重要になってきます。「ストレッチポール」や「ストレッチ」などを行い、柔軟性を高めつつ、体幹や下半身の筋力トレーニングを行うこと大切です。大切なのは、身体のどこに原因があるかを把握して適切な負荷量でのトレーニングやケアになるので、専門家への相談もされてみてください。

ご予約・お問い合わせ

店舗名E-Reha(イーリハ)
営業時間8:30~20:00
定休日不定休
住所〒880-0844
宮崎県宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸D2-1
アクセスJR宮崎駅から車で5分、徒歩20分
バス停柳丸町から徒歩1分
駐車場敷地内にお客様駐車場41台完備
エレベーターあり(エレベーター降車後すぐ)
電話番号070−9202-2030

>店舗詳細はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です