【要注意】妊娠に伴う姿勢の変化と産後のリスクについて

「妊娠前の体型に戻したいのに、なかなか戻らない…」

「産後、骨盤が大きくなった気がする…」

「腰痛や猫背が気になるけれど、何をすればいいの?」

このような妊娠に伴う姿勢の変化の悩みを持つ方は少なくありません。

実際に、妊娠や出産に伴う姿勢の変化が原因で、産後に体型が戻りにくくなったり、腰痛が続いたりすることがあります。さらに、適切なケアをしないことで、将来的な腰痛や関節の不調につながるリスクにもなります。

この記事では、妊娠中の姿勢の変化と、それによる産後のリスクなどについて詳しく解説します。

「妊娠したら体型が変わるのは当たり前」…と思っていませんか?

確かに、その通りで、妊娠に伴い体型の変化は起こってきます。

妊娠中、赤ちゃんの成長とともにお腹が大きくなっていくため、見た目にもかなり体型は変化します。その際、姿勢そのものが変化し、妊婦の体に大きな負担をかけることになっています。

実際にどのような変化が起こるかというと、

妊娠中の体の変化と体への負担

  • 骨盤の前傾 → 反り腰を助長することになります。
  • 腰椎の反り(反り腰) → 腰への負担が増加します。
  • 膝の過伸展 → 膝への負担が増え痛みの原因になります
  • 肩の丸まり(巻き肩) → 肩こり・頭痛の原因になります。

などの体の変化が起こってきます。

これらの姿勢の変化は、妊娠に伴い『リラキシン』というホルモンが分泌されることで、関節が緩みやすくなり起こってきます。

骨盤が小さいままでは、赤ちゃんが過ごすスペースがないため、このような姿勢の変化は出産の準備として必要な変化ですが、大切なのは産後そのままにすることで、将来的に姿勢や骨盤のゆがみが起こりやすくなるということです。

さらに骨盤の具体的な変化としては、

骨盤の変化

  • 仙腸関節(骨盤の後ろ側の関節)が緩む
  • 恥骨結合が広がる
  • 骨盤の開きが大きくな

などの変化が起こっています。

このような変化が起こることで、見た目的には骨盤が大きくなり、お尻が大きく見えたり、足が太くなったりの変化が起こります。

身体的には、骨盤の不安定性に伴い、痛みや違和感などが出る、筋肉が効率的に働きにくくなるなどの影響が出てきます。

「出産したら、体型は元に戻る…?」

もちろん、そうなると理想的ですが、実際はそんなに簡単ではありません。

特に将来的にご自身の見た目や、健康を気にされている方には気に留めていただきたい点です。

産後は、子育てをしながらになるので、自分の体のことまで気が回らなかったりしますが、自然に体が元に戻ることはさまざまな理由で難しくなります。

産後しばらく経っても「骨盤が大きくなった感じがする」「妊娠前のズボンが入らない」という方がいる一方で、出産前のよう体型が戻る人もいます。

この違いは何だと思いますか?

先ほども出てきましたが、妊娠中に『リラキシン』というホルモンの影響で骨盤などの関節は緩み、出産時に最大限に開きます。 産後はこのリラキシンの分泌が徐々に減り、約6か月で関節の緩みが元の硬さに戻っていきます。

一度硬くなった関節(靭帯など)を柔らかくしていくことは非常に大変です。

(怪我でギブス固定などをして硬くなった関節を動かしていくのをイメージしてみてください。)

つまり、この産後約6ヶ月の期間に適切なケアを行わないと骨盤が歪んだまま固定化してしまうリスクがあります。

では、なぜ自然に元に戻らないのでしょうか?

1.筋力低下による姿勢の崩れ

姿勢を保つ際、通常はお腹や腰の筋肉がバランスよく働くことで姿勢を保っています。

しかし、妊娠により骨盤が開きお腹が大きく膨らむことで、腹筋は引き伸ばされ、筋肉の走行なども変化するため、妊娠前のように腹筋などの姿勢を保つための筋肉の機能が低下してしまいます。

骨盤底筋群などの骨盤を支える筋肉も同様です。

一度使いにくくなった筋肉を使えるようにするには、やはりこれらの筋肉のトレーニングが必要になります。

2.日常の育児姿勢・動作による歪み

意外かもしれませんが、普段の育児姿勢が原因で姿勢の歪みを悪化させるケースが多くあります。

産後は、授乳・抱っこ・おむつ替え・寝かしつけなど、前かがみの姿勢が増えます。 また、赤ちゃんを抱っこするとき、左右どちらかに重心をかけるクセがつくことで、背骨や骨盤の歪みが悪化します。

抱っこする時は、反り腰姿勢になりやすくなります。

また、夜寝る時も、赤ちゃんの寝ている方など、決まって一方向を向いたまま寝ることなどもあります。

このように偏った不良姿勢が続くことで、姿勢の歪みをさらに悪化させやすくなります。

3.妊娠中の姿勢のくせが抜けない

妊娠中、お腹が大きくなることで、自然と反り腰や猫背などの代償姿勢(身体をかばう姿勢)をとることになります。産後、お腹が小さくなっても、このクセが抜けないまま、不良姿勢を維持し続けてしまうことはよくあります。

その理由には、先に述べた筋力や普段の育児姿勢などの影響に加え、どのような姿勢を取ったらいいのか分からずに意識できなかったり、そのような余裕がなかったり様々な理由が考えられます。

4.ホルモンバランスの影響

妊娠・出産によって女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌が大きく変動します。 特に『リラキシン』は、出産後もしばらくの間分泌が続くため、産後数ヶ月は関節が緩んだままの状態になりますが、徐々に分泌が減っていきます。

エストロゲン』というホルモンは、筋肉の合成や修復を促進するホルモンになりますが、出産後は急激に分泌が低下します。母乳育児を終えてから約3ヶ月ほどで、徐々にホルモンバランスが正常に戻ってくると言われています。

産後の回復スピードには個人差がありますが、ホルモンの影響を考慮しながら、体の回復の時期に応じた適切なケアをしないと、姿勢の崩れが固定化する原因になってきます。

では、産後のケアをしないと将来的にどのようなリスクがあるのかを解説していきます。

産後、骨盤は開いた状態から、ある程度は少しずつ元の位置に戻ろうとしますが、歪んだまま固定化してしまった場合次のようなリスクが出てきます。

産後骨盤の歪みが固定化した場合の将来的リスク

  • 猫背や反り腰姿勢に伴う慢性的な肩こりや腰痛
  • 股関節や膝などへの負担が大きくなる
  • 尿もれや骨盤臓器脱などの問題
  • 見た目の変化

これらの問題は、妊娠後すぐではなく、加齢に伴う体の変化と合わせて、将来的に発生しやすくなるリスクがあるため、産後のケアは非常に重要になります。

筋力の回復も、若い時の方が回復も早く、関節などの柔軟性もあります。変形した関節は元に戻ることはないため、早く対応することが勧められます。

また、見た目的な変化も出てきます。

実際に、産後、体重が戻っても「下腹だけぽっこり」「お尻や太ももが太くなった気がする」と感じる方は多くいらっしゃいます。 これらは、骨盤が開いたままでいることや、筋力の低下、大きくなった腹腔内での内臓の位置の変化、姿勢の変化など、様々な要因で起こってきます。

猫背や反り腰など不良姿勢の影響で、慢性的な肩こり・頭痛、腰痛などの悩みも出てくることがあります。

「気づいたら姿勢が悪くなっていた…」とならないためにも、早めにケアを始めることをお勧めします

「産後のケアはいつから始めるべき?」と疑問に思う方も多いですが、目安としては産後1.5〜2ヶ月くらいから、体調などに合わせて、ケアを開始していくことが勧められています。

特に産後6ヶ月まではリラキシンの影響などで、ある程度関節の柔軟性もある状態ですので、いわゆる骨盤矯正や姿勢修正、トレーニングなどのケアをする時期としては、望ましい期間になります。

6ヶ月以降も継続的なケアや運動などは重要ですが、まずは目安として産後2〜6ヶ月の期間を念頭においてケアをする必要があります。

産後約2ヶ月ほど経つと、体力的にも回復してくる時期になります。

産後6ヶ月以上経過しているから「もう遅いかも…」と諦める必要もありません。

できるトレーニングやケアもあるため、適切なアプローチでケアしていくことが大切です。

産後の姿勢に対するケアにはいくつか注意をしていく点があります。

特に「骨盤矯正」などの言葉から、関節をボキボキと動かすなどのイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、心配になりませんか?

関節には、それぞれの関節ごとに向きや、動きやすい方向などがあります。

人により柔軟性や抵抗感なども違うため、これらを考慮し、関節に負担をかけないようにケアしていく必要があります

また、姿勢を矯正や修正するだけでは、その姿勢を維持することはできません。

姿勢を保つためには、そのための筋力と、靭帯などの緊張も重要になってきます。

産後の体の回復過程に合わせて、筋力トレーニングも必要になってきます。

当然、普段の姿勢習慣やクセ、育児環境なども姿勢には大きな影響を与えるため注意が必要です。

育児をしながらになりますので、とても大変ではありますが、産後のケアは一生の健康につながるものです。

自分の状況に合った正しいケアを継続する必要があります。

妊娠中、リラキシンというホルモンの影響で関節が緩み、骨盤の前傾や反り腰、膝の過伸展、肩の丸まりなどの姿勢変化が生じます。これらは出産の準備として必要な変化ですが、産後に適切なケアをしないことで、姿勢の歪みが固定化するリスクがあります。

産後に体型が戻りにくい原因には、筋力低下による姿勢の崩れ、育児姿勢による歪み、妊娠中の姿勢のクセ、ホルモンバランスの影響などがあります。将来的には、慢性的な肩こりや腰痛、関節への負担増加、尿もれなどの問題、見た目の変化といったリスクに繋がる可能性があります。

産後のケアは、体調に合わせて産後1.5〜2ヶ月頃から始めるのが理想的です。特にリラキシンの影響で関節の柔軟性が保たれる産後6ヶ月までが望ましい期間になります。ただし、それ以降でも諦める必要はなく、体の状態に合わせた適切なアプローチでケアは可能になります。

産後の体の回復過程に合わせた筋力トレーニングや姿勢習慣の改善など、自分の状況に合った正しいケアを継続することで、一生の健康につながる体づくりを行うことができるので、継続して取り組むことをお勧めします。

E-Reha(イーリハ)

〒880-0844  宮崎県宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸D2-1

宮崎市のリハビリ整体院、ゴルフ整体院

参考文献

1)森野佐芳梨:正常妊娠における姿勢・歩行の変化.The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 60(7): 560-565, 2023.

2)山崎愛美:産後の骨盤底(ペリネ)ケア.ペリネイタルケア 42(3): 244-248, 2023.

3)瀬戸景子:姿勢・骨盤のアセスメント.ペリネイタルケア 42(3): 224-229, 2023.

4)佐藤史弥, 高雄由美子:周産期の腰骨盤痛 : 機序から診断・治療まで.ペインクリニック 44(2): 148-155, 2023.

5)大沼賢洋:骨盤底機能障害について (骨盤底筋群の評価・アプローチおよび姿勢による影響).静岡理学療法ジャーナル (48): 1-5, 2024.

Q1. 産後の骨盤ケアはいつから始めれば良いですか?

A. 一般的には産後1.5〜2ヶ月頃からが目安とされています。 この時期になると体力も徐々に回復し、骨盤や関節に柔軟性が残っているため、無理のない範囲でのストレッチやトレーニングからケアを始めていきます。目安として産後6ヶ月までが効果が最も期待できる期間になります。

Q2. 産後のケアをしないとどのようなリスクがありますか?

A: 猫背や反り腰姿勢に伴う慢性的な肩こりや腰痛、股関節や膝への負担増加、尿もれや骨盤臓器脱の問題、見た目の変化などのリスクがあります。体調などに合わせ、自分に合ったケアを行なってください。

Q: 妊娠中の女性ホルモンの変化はどのように影響しますか?

A: 妊娠後「リラキシン」が関節の緩みを促すことで、骨盤などの姿勢の変化が起こってきます。「エストロゲン」は筋肉の合成や修復を促すホルモンですが、出産後は急激に分泌が低下し、母乳育児終了から約3ヶ月ほどでホルモンバランスが徐々に正常に戻ってきます。このようなホルモンの状況なども考慮してケアしていくことが大切になります。

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