【なるほど!】肩こりになりやすい人の特徴とは?

「いつも肩が重い」「マッサージしてもすぐ戻る」──そんな肩こりに悩まされていませんか?
実は、肩こりには“なりやすい人の特徴”があるのをご存知ですか?
本記事では、最新の研究結果をもとに、肩こりになりやすい人の傾向や特徴について理学療法士の視点から詳しく解説していきます。
肩こりの正体とは?
まず前提として、「肩こり」とは正式な病名ではなく、日本独自の表現になります。
一般的には、首の後ろから肩、肩甲骨周辺にかけての鈍痛・張り・重だるさなどの不快感を指します。
日本整形外科学会では、肩こりとは「後頚部から肩甲骨周囲にかけての不快感、鈍痛、重苦しさや、それに伴う筋の緊張」を総称したものとされています。
このような症状は主に筋肉の緊張、血流不足、不良姿勢、運動不足、そしてストレスなど複数の要因が関わり合って生じるとされています。これらの結果、肩こりの際に痛くなりやすい僧帽筋内の有酸素能力が低下することで、筋が硬くなることが主病態とされています。
肩こりの現状
平成28年国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、女性では約 120,000 人の有訴者で第1位、男性では約 60,000 人の有訴者で第2位に位置し、多くの国民を悩ませる症状の一つといえます。
日本では診療報酬の対象とならないため、診断名としてではなく、症状名として認識されているため、病院などで肩こりが注目されることは少なく、湿布などの内服や電気や温熱などの物理療法で対応されることが多くあります。
肩こりになりやすい人の特徴

同じように筋肉が硬くなっていても、「肩こり」として実際に痛みを訴える方とそうでない方が実際にいらっしゃいます。
先行研究で、「肩こり」を訴える方の特徴や傾向が報告されています。
1.女性である
数多くの調査で、肩こりを訴えるのは女性が圧倒的に多いことが分かっています。
なぜ女性に多いのでしょうか?
一般的には下記のような特徴が考えられています。
- 女性は男性に比べて筋力(とくに握力や下肢後面の筋力)が低い傾向があるため
- 男性よりも肩周囲の筋肉が疲れやすく、血流不足になりやすいため
- 女性は僧帽筋内の酸素飽和度や疼痛の閾値が低い(痛みを感じやすい)ため
- ホルモンの影響で筋肉や関節が不安定になりやすい
ちなみに、先行研究において、男性では体脂肪率が高い人の方が肩こりを訴えやすいと報告されています。
2.座っている時間が長い
デスクワーク中心の生活も肩こりの大きな要因になります。
研究では、座位姿勢で長時間過ごしている人ほど肩こりの訴えが多いことが示されています。
特に、頻繁に立ち上がったり歩いたりする作業職に比べ、事務職など座りっぱなしの仕事に従事している人に肩こりが多く見られるとされています。
ではなぜ、座っている人の方が肩こりを訴えやすいのでしょうか?
座位姿勢が肩こりを引き起こすメカニズムには、以下のようなものが考えられます:
- 長時間の不動姿勢により、続的筋収縮や、不良姿勢によるメカニカルストレスが加わることで、筋緊張・疲労・阻血などの状態になりやすいため。
- 不良姿勢(猫背・反り腰など)が継続することで首・肩周囲に過剰な負担がかかるため。
とくにパソコン作業などでは頭が前に出やすく、頭を支えるために、首の僧帽筋などの緊張が強くなってしまい、肩こりのリスクが高くなってしまいます。
3.筋肉率・筋肉量が低い
あまり知られていませんが、肩こりと筋肉率などの関係性が多くの研究で報告されています。
先ほども、女性では握力と下肢筋力の低い人ほど肩こりを訴えやすいことをお伝えしましたが、握力は全身の筋肉量の指標にもなるものになります。
握力が低い、つまり全身の筋肉量の少ない人ほど、肩こりを訴えやすい傾向があると言われています。
また、体幹の筋肉量が少ない人ほど肩こりになりやすいというデータもあります。
肩こり症状に関連する体幹筋の筋肉率では、女性は男性に比べて低い数値となることが報告されており、体幹筋の少ない人ほど肩こりになりやすいとされています。
日本人を対象とした研究でも、肩こり症状を有する女性は背筋力が減弱していたとの報告があります。
肩こりと体幹筋の関係については、肩こり症状によって体幹機能障害が生じて体幹筋肉量が低値になった可能性、あるいは元々体幹筋が活動不良であったために、頸肩腕部への負担が増加するような姿勢となり、結果として肩こり症状が生じた可能性の二つが考えられています。
このように体幹筋の少ない(弱い)方は、肩こりになりやすい傾向があると考えられます。
その他の肩こりの関連要因
心理的ストレス
肩こりは身体的な要因だけでなく、抑うつや不安などの心理的ストレスとも深く関係しているとされています。ストレスが高まると筋肉の緊張が増し、自律神経の乱れも生じやすくなるため、肩周囲の筋肉が硬くなりやすいのです。
女性のほうが男性よりもストレスや不安を感じやすいことから、僧帽筋内の血行動態に悪影響を及ぼすと報告している文献もあります。
睡眠不足
睡眠不足も肩こりの危険因子の一つとして報告されています。
睡眠不足は疲労回復を妨げてしまい、肩こりを悪化させるリスクになります。。
寝具や寝姿勢が悪い場合も、寝ている間に首や肩の筋肉が緊張し続けるため注意が必要です。
肩こりとどう向き合う??
肩こりに対して、一般的には湿布などの内服での対応や、マッサージをメインに、電気治療や温熱治療などで対応された方は多くいらっしゃると思います。
もちろん、肩こりは僧帽筋の血流・酸素飽和度の低下し、筋肉が硬くなった状態のため、このような対応も必要です。
ただ、肩こりの方の多くはこのような対応をしても一時的に良くなるが、また痛みを繰り返してしまう方がほとんどです。
多くの研究で、肩こりになりやすい人の特徴が報告されているように、肩こりを改善、予防するためには、これらを考慮した対応が必要になります。
具体的には、体幹や下肢の筋肉量を増やすトレーニングや、活動量を増やすこと、姿勢の修正などになります。
実際に、運動が肩こりに対する予防効果の可能性が報告されています。
肩こりで悩まれている方は、体幹や下肢の筋肉、普段の姿勢、活動量などに目を向け、これらを改善する方に目を向けて、肩こりの改善を目指してみるのも必要かもしれません。
E-Rehaでは肩こりでお悩みの方に対して以下のような対応を行なっています。
【1】姿勢分析とカウンセリング
施術前に姿勢や体の柔軟性など首や肩周りだけでなく、体幹や脚など全身の状態を評価し、肩こりの原因分析を行います。
また、生活習慣や仕事の姿勢、運動習慣はもちろん、寝具などのアドバイスも、肩こりの症状や状態に合わせて行なっております。
【2】筋緊張を和らげる
肩こりにより首・肩まわりの筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋など)を中心に、実際に痛みが出ている組織に対して、ストレッチやマッサージをなど行い、痛みの軽減を図っていきます。
関節の動きが硬い部位の関節モビライゼーションなども行い、対処的なアプローチだけでなく、原因を改善するためのアプローチを行なっています。
【3】体幹筋の活性化トレーニング
肩こりと筋肉率などは関係性があるため、必要に応じて体幹筋のトレーニングも行なっています。
腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルに対してのトレーニングを行い、正しい姿勢を支えやすくできることを目指したトレーニングになります。
トレーニングは一人ひとりの、状態やレベルに応じて、対応しています。
【4】姿勢指導
自宅や職場での座位姿勢が肩こりの原因になっている場合があるため、理学療法士の視点から、デスクワーク姿勢などの修正やアドバイスなどをさせていただきます。
必ずその姿勢をとらなければいけないということではなく、いい姿勢を意識していただくことで、少しでも肩こりが軽減できるように、おひとりごとの環境などに合わせてアドバイスさせていただきます。
まとめ
肩こりは「肩まわりだけの問題」ではなく、性別・生活習慣・姿勢・筋肉量・ストレス・睡眠状況など、さまざまな要素が複雑に関係して起こる症状になります。
とくに女性やデスクワークが多い方、体幹や下肢の筋肉量が少ない方は、研究的にも肩こりを訴えやすいことが分かっています。
肩こりの改善には一時的なケアだけでなく、これらの問題に対応した、姿勢の見直し、生活環境の調整、体幹などの筋力トレーニング、活動量の改善といった、根本アプローチが重要になります。
E-Reha(イーリハ)では、運動器認定理学療法士が、姿勢や身体の状態を詳細に評価し、腰痛や肩こりに対して、個別性のある施術やセルフケアの提案などを行なっています。
マッサージなどでの一時的対応ではなく、肩こりの改善には筋力や姿勢の改善が重要になります。慢性的な肩こりや姿勢不良などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
E-Reha(イーリハ)
〒880-0844 宮崎県宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸D2-1
宮崎市のリハビリ整体院、ゴルフ整体
参考文献
1)城由起子, 中楚友一朗ほか:III. 疾患編 3. 肩こり.ペインクリニック 42(8): 1012-1015, 2021.
2)半谷智辰, 大黒一司ほか:肩こりの疼痛要因 – 身体的および精神的因子に関する重回帰分析 -.運動器リハビリテーション 32(4): 415-421, 2021.
3)加藤剛平, 岩本幸英ほか:勤労者の肩こり症状に関連する因子の検討.日本職業・災害医学会会誌 67(2): 87-94, 2019.
4)黄金勲矢, 山下敏彦:頚部痛・肩こりに対する治療戦略.関節外科 41(7): 768-774, 2022.
FAQコーナー
Q1. 運動不足だと肩こりは悪化しますか?
A. はい。研究では活動量が低い人ほど肩こりが多いと報告されています。とくに体幹や下肢の筋力低下が関連すると言われているため、筋力や活動量を改善していくことはとても大切です。。
Q2. 女性に肩こりが多いのはなぜですか?
A: 報告によると、筋力が低い傾向、痛みの感じやすさ、ホルモンの影響などが関係しているとされています。僧帽筋の酸素飽和度の低さなどが指摘されており、男性よりも圧倒的に女性の方が肩こりが多いとされています。
Q: 寝具が合わないと肩こりは起こりますか?
A: はい。枕の高さやマットレスの硬さが合わないと、睡眠中に首や肩が緊張しやすくなります。睡眠不足も肩こりを悪化させやすいため、自分にあった寝具の調整はとても大切です。体重や頭の大きさ、肩幅、姿勢などは一人ひとり個人差があるため、ご自身に合わせた寝具の使用を推奨しています。E-Rehaでは、枕の調整なども実施しています。
ご予約・お問い合わせ

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