肩を揉んでも治らない?肩こりの「意外な正体」

「マッサージを受けた直後は楽になるけれど、翌日にはまた肩が重い……」 そんな経験はありませんか?
実は、肩こりを抱える方の多くが、この「その場しのぎ」のループに陥っています。
なぜ、あなたの肩こりは何度も繰り返されるのでしょうか?
最新の研究で、肩こりの本当の原因が、「筋肉の硬さ」だけではないことが分かってきました。
今回は、理学療法士の視点から、5つの学術論文(エビデンス)を基に、肩こりの正体を科学的に解説していきます。マッサージ店では決して教えてくれないと思いますので、是非参考にしてみてください。
マッサージで肩こりが消えない「科学的な理由」
「肩(の筋肉)が硬いから、強く揉んでほぐしてほしい。」
このように思われる方は多いですが、医学的には「筋肉の硬さ=痛みの強さ」ではないことが証明されています。
筋肉の硬さと痛みの強さは比例しない?
医療従事者138名を対象にした最新の横断研究(中河ら, 2023)では、超音波を用いて肩の筋肉(僧帽筋)の硬さを測定し、痛みとの関連がどうか調査されています。
その結果、「筋肉の硬さ」と「痛みの数値(VAS)」には統計学的な相関が認められませんでした。
つまり、「肩がどんなに硬くても痛みがない人」もいれば、「筋肉が柔らかいのに激痛に悩む人」もいるということです。
これは、単に筋肉を揉みほぐして柔らかくするだけでは、肩こりの根本的な解決にはならないことを示しています。
「揉んで終わり」が招く、さらなる慢性化のリスク
もちろん、肩がこり、筋肉が過剰に緊張して硬くなっている状態では、乳酸などの疲労物質も溜まりやすく痛みが出やすい環境にあります。
マッサージで一時的に血流が良くなると、疲労物質も流され一時的に痛みが緩和される場合もあります。
しかし、肩がこる根本的な原因(姿勢や持久力の低下)が放置されたまま、強いマッサージを繰り返し圧を加え続けると、逆に筋線維を傷めたり、痛みに対して神経が過敏になる「感作」と呼ばれる状態を引き起こすリスクがあります。
どんどん強いマッサージを求めてしまう「マッサージ依存」の状態に陥っていませんか?
原因は肩ではなく「体幹」と「首の持久力」にあった
「肩がこるから肩にアプローチする」のは、対処的にはもちろん重要ですが、結局は原因がそのままのため、繰り返し痛みが起こってしまいます。
では、肩こりの原因はなんだと思いますか?
体幹筋肉率「32.24%」
勤労者489名を対象とした大規模調査(加藤ら, 2019)では、肩こりがある人とない人を分ける身体的要因が報告されています。「体幹筋肉率」です。
この研究結果によると、肩こりを感じにくい人の体幹筋肉率の境界線(カットオフ値)は、全体で32.24%。女性に限定すると30.78%でした。

体の土台である体幹(お腹周りや背中)の筋肉が不足していると、その上に乗っている重い頭や腕を支えるために、肩の筋肉が過剰に頑張らざるを得なくなります。
その結果、肩の筋肉に痛みが起こり肩こりになりやすくなります。
肩こりは単に「肩の問題」ではなく、「支えられない土台の身代わり」などが関係しています。
重い頭を支えるための「首のスタミナ」不足
また、若年女性を対象とした頸部機能の研究(神田ら, 2020)では、慢性的な肩こりを持つ人は、そうでない人に比べて「頸部屈筋群(首の前側の深層筋)の持久力」が著しく低いことが報告されています。
重さ5〜6kgもある頭を支え続けるには、筋力というよりも「スタミナ(持久力)」が大事になります。
筋肉のスタミナが切れ、疲れた状態になると、人は楽な姿勢を取ろうとするため、背中を丸め(猫背姿勢)頭は前方へ突き出す(ストレートネック)姿勢を取りやすくなります。
結果的に、肩の筋肉には通常の何倍もの負荷がかかります。
筋肉を揉んでも、力や持久力は強くなりません。
これらの改善には、首や体幹の「スタミナ」を高めていくことが重要になります。
脳が記憶する「痛みのループ」と心理的因子
肩こりが数ヶ月、数年と慢性的に続いている場合、物理的な「こり」だけの問題では無くなっている可能性があります。
「脳」の影響も検討する必要があります。
ストレスと罹病期間が痛みの感度を変える
福島県立医科大学の研究(半谷ら, 2021)では、看護師62名を対象に分析を行った結果、痛みの強さに最も影響を与えていたのは「罹病期間(悩んでいる期間)」と「ストレス」という結果が報告されています。

痛みが長引くと、脳の痛みを司る神経系が「過敏」な状態になります。
これを「中枢性感作」と呼びますが、この状態では、本来痛みとして感じない程度のわずかな刺激(血流低下や少しの張り)を、脳が「痛み」として過剰に解釈してしまいます。
ここに仕事のストレスや不安が加わると、痛みのセンサーはさらに過敏になってしまうため、肩こりに対する負のループが起こってしまいます。
また、過去に経験した痛みの記憶など、認知的な要素で肩こりを感じている場合もあり、脳からの影響は考慮していく必要があります。
まとめ
肩こりは、「肩の筋肉が硬いから起こる」という単純なものではなく、マッサージで一時的に楽になっても、すぐに元に戻ってしまうのは、痛みの本当の原因が別のところにあるためです。
肩こりの背景には、体幹の筋肉量不足や首の深層筋の持久力低下があり、重い頭や腕を支えきれなくなった結果として、肩の筋肉が過剰に働かされているケースが多く見られます。これは頭を支える「土台」が十分に機能していない状態になります。
さらに、症状が長期間続くと、脳が痛みを記憶し、わずかな刺激でも強い痛みとして感じてしまう「中枢性感作」が起こります。ここにストレスが加わることで、肩こりはより慢性化し、負のループに陥ってしまいます。
肩こりの改善には筋肉の硬さだけでなく、体幹や首の持久力、そして脳や心理的要因まで含めて考えることが重要です。
E-Reha(イーリハ)では、運動器認定理学療法士が、姿勢や身体の状態を詳細に評価し、腰痛や肩こりに対して、個別性のある施術やセルフケアの提案などを行なっています。
理学療法士として視点から肩こりの原因を分析し、マッサージなどでの対応はもちろん、肩こりの「根本的な改善」を図れるように姿勢や可動性、柔軟性だけでなく、体幹筋力やスタミナの問題に対してもアプローチを行っています。
もし、「どこに行っても治らない」「その場しのぎのマッサージで諦めている」など、肩こりでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
E-Reha(イーリハ)
〒880-0844 宮崎県宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸D2-1
宮崎市のリハビリ整体院、ゴルフ整体
参考文献
1)中河真吾, 萩野浩: 医療従事者の肩こりに関する横断的研究―関連因子および筋硬度の検討―. 理学療法科学 38(1): 73-77, 2023.
2)加藤剛平, 岩本幸英ほか:勤労者の肩こり症状に関連する因子の検討.日本職業・災害医学会会誌 67(2): 87-94, 2019.
3)神田賢, ほか:若年女性の慢性肩こり有訴が頸部に影響を及ぼす因子. 理学療法科学 35(4): 483-487, 2020.
4)半谷智辰, 大黒一司ほか:肩こりの疼痛要因 – 身体的および精神的因子に関する重回帰分析 -.運動器リハビリテーション 32(4): 415-421, 2021.
5)熊谷玄太郎, ほか:一般地域住民を対象とした肩こりと腰痛に関する疫学調査. Journal of Spine Research. 9(2): 197-201, 2018.
FAQコーナー
Q1. 肩こりは肩の筋肉が硬いから起こるのではないのですか?
A. 必ずしもそうではありません。研究では、肩の筋肉(僧帽筋)の硬さと痛みの強さには明確な相関がないことが報告されています。筋肉が硬くても痛みがない人や、柔らかくても強い痛みを感じる人もいらっしゃいます。
Q2. 肩こりの原因は肩以外にもあるのですか?
A: はい。研究では、体幹の筋肉量不足や首の筋肉の持久力低下が、肩こりと関連していることが報告されています。
この他にも、体幹や下肢筋力、活動量の低下などが関連しているという報告がされています。
詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。>>>【なるほど!】肩こりになりやすい人の特徴とは?
Q: 長年続く肩こりは体の問題だけないのですか?
A: はい。長期間続く慢性的な肩こりでは、脳の痛みの処理の仕方が変化している可能性があります。
「中枢性感作」と呼ばれ、わずかな刺激でも痛みを感じてしまうことや、過去に経験した痛みの記憶など、認知的な要素で肩こりを感じている場合などがあります。
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