駐車場の切符が届かない…五十肩の「あと数センチ」の痛みを消す方法

「駐車場の発券機に、あと少し届かない…」

「無理に手を伸ばしたら肩に激痛が走った」

宮崎での生活に車は欠かせませんが、駐車場の発券機に手を伸ばそうとした時に、肩に激痛が走った経験はありませんか?

このよなたった「数センチ」のリーチ動作で痛みが出てしまうというお悩みを持つ方は、五十肩(肩関節周囲炎)の方に多く見られます。

「動画ででストレッチを試したけれど変わらない」

「マッサージに行っても、このリーチの痛みだけがどうしても残る」という方は少なくないのではないでしょうか。

実は、この「あと数センチ」の壁は、単なる筋肉の柔軟性の問題ではないからです。

本記事では、最新のリハビリテーション医学の知見をもとに、なぜリーチ動作で激痛が走るのか、またなぜセルフケアだけでは限界があるのか、理学療法士の視点から詳しく解説していきます。

肩の中で起きている「ミリ単位の衝突」

まず、肩関節の構造についてお伝えします。

肩関節は、小さな受け皿(関節窩)に大きなボール(上腕骨頭)が乗った、非常に不安定な構造をしています。

手をスムーズに前に伸ばすためには、このボールが受け皿の真ん中で「転がり」ながら、同時にわずかに「後ろへ滑る」という動きが必要です。これを理学療法では「求心位(きゅうしんい)の保持」と呼んでいます。

しかし、五十肩の方は関節の袋の後ろ側(後方関節包)が分厚く硬くなっているケースがあります。

この硬くなった後方関節包が、ボールの「後ろへの滑り」を物理的にブロックしてしまいます。

行き場を失ったボールは前上方へと押し出され、神経や周囲の組織を噛み込む「インピンジメント(衝突)」が起こります。

これが、発券機に手を伸ばした瞬間に肩に激痛が走る正体になります。

肩の中で起きている「インナーマッスルの機能不全」

先ほど、後方関節包の硬化によってボールが前上方へ押し出されるメカニズムをお伝えしましたが、五十肩ではもう一つ、重要な問題が関わっています。

肩関節は、小さな受け皿(関節窩)に大きなボール(上腕骨頭)が乗った、非常に不安定な構造をしています。このボールが受け皿から外れないように、中心に引き寄せておく役割を担っているのが「腱板(けんばん)」と呼ばれるインナーマッスルになります。

手を前に伸ばす動作(リーチ動作)の際、通常はこの腱板がしっかりと働くことで、ボールを受け皿の真ん中にキープ(求心位の保持)した状態で、スムーズに腕を伸ばすことができます。

しかし、五十肩の方はこの腱板(インナーマッスル)の機能が低下していることが多くあります。

インナーマッスルによる支えが不十分になることで、手を伸ばした瞬間にボールが前上方へとズレてしまいます(前方変位)。その結果、肩の屋根にあたる「肩峰(けんぽう)」の下にある組織を噛み込んでしまいます。

これが、発券機に手を伸ばしたときに走る鋭い痛みの原因の一つになります。

同じように痛みがある方でも、セルフケアを続けても改善しない方と、専門的なケアで改善できた方がいらっしゃいます。

先行研究から、五十肩のリーチ動作の痛みに対してセルフケアだけでは対処しきれない理由が、大きく3つ報告されています。

1.筋肉ではなく「脂肪組織の癒着」が起きている

「あと数センチ」を邪魔しているのは、実は筋肉の硬さだけではありません。

報告によると、筋肉を円滑に動かすための「脂肪組織(肩峰角周囲など)」の滑りが悪くなることで、動作時の痛みが生じることがあります。

この場合、腕を大きく振り回すようなストレッチをしても、癒着している部位には刺激が届かず、かえって周囲の正常な組織を傷めてしまうリスクがあるため、注意が必要です。

2.「脳のブレーキ」が胸郭をロックしている

「動かすと痛い」という経験が続くと、脳が先回りして体を固めてしまうようになります。

松下ら(2023)の報告では、この「痛みへの恐怖心(破局的思考:PCS)」が長期的になるほど、過度な回避行動に繋がり、不動化や廃用等の徴候が出現するとされています。

肩を支える「胸郭」のおいても、過剰な回避行動から、柔軟性が低下することが示されています。

肩の動きには胸郭の柔軟性が欠かせませんが、この柔軟性が失われることで、肩への負担がさらに大きくなってしまいます。

3.肩甲骨の「3次元的な連動」が消失している

リーチ動作の最終段階では、腕の動きに合わせて、肩甲骨が「上方回旋・後傾・外旋」という複雑な3次元的な動きを行う必要があります。

五十肩ではこの連動が崩れており、自力で腕だけを動かしても、関節内の衝突を避けることが難しくなっています。

「腕のストレッチをしているのに改善しない」という方の多くは、この肩甲骨の動きの問題が関係していることがあります。

「五十肩はそのうち自然に治る」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。

しかし、大規模な追跡調査では、発症から7年が経過しても、35〜50%の方に痛みが残存していることが報告されています。

つまり、半数近くの方は放置した結果、痛みが長期化・慢性化してしまっているのが実情です。

さらに、放置による摩擦が続くことで、肩のインナーマッスルの損傷が進み、最悪の場合は手術が必要な「腱板断裂(けんばんだんれつ)」へ移行するリスクもあると報告されています。

「様子を見ていれば治るだろう」と思っていても、年単位で痛みが残ってしまうリスクは決して低くないため、早めの対応がとても重要になります。

詳しく知りたい方は、こちらのブログ記事を参考にしてください。>>>五十肩は自然に治る?それ危険かもしれません。

発券機に手を伸ばすようなリーチ動作での痛みの改善には、なぜその痛みが出ているかの原因をしっかりと把握する必要があります。

E-Reha(イーリハ)では、五十肩によるリーチ動作の痛みに対して、以下のような対応を行なっています。

【1】詳細な評価・原因分析

五十肩の痛みや動きの制限には、一人ひとり異なる原因があります。

施術前に、痛みの状態・炎症の程度・関節可動域・筋力・姿勢など、さまざまな視点から評価を行い、現在の問題点を把握した上で施術を進めていきます。

【2】関節内運動の改善

理学療法士が上腕骨を正しい位置(求心位)に誘導しながら、肩を動かす練習を行い、癒着している脂肪組織や後方関節包、腱板に対してピンポイントでアプローチしていきます。

この「関節内の動きを直接コントロールしながら行うアプローチ」も、最初は手伝いながら、徐々に自分でコントロールできるように段階的にアプローチしていきます。

【3】機能的なトレーニング・セルフケア指導

徒手療法で関節内に適切なスペースを確保した状態で、実際に「痛みのない動き」を実現するためには、ご自身で「腱板」の機能を改善していくためのセルフトレーニングも非常に重要になってきます。

それぞれの方の、原因や状態に合わせたセルフケアやトレーニングの方法を、個別にご指導しています。

「あと数センチ」届かないリーチ動作の痛みは、単なる筋肉の硬さではなく、後方関節包の硬化、脂肪組織の癒着、肩甲骨の連動不全、脳による防御反応など、複数の要因が重なり合って生じています。

セルフケアで改善しない場合は、これらの根本的な原因に対して、専門的な視点からアプローチしていくことが重要になります。

また、五十肩は放置によって痛みが長期化・慢性化するリスクがあるため、早い段階からの対応がとても大切です。

E-Reha(イーリハ)では、運動器認定理学療法士が、肩の痛みや動きの状態を詳細に評価し、一人ひとりの状態に合わせた施術やセルフケアの提案を行なっています。

「どこへ行っても変わらなかった」「ストレッチを続けているのに改善しない」という方は、お気軽にご相談ください。

E-Reha(イーリハ)

〒880-0844 宮崎県宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸D2-1

宮崎市のリハビリ整体院、ゴルフ整体

参考文献

1)権田芳範, 金子和夫:五十肩(凍結肩)と運動療法. ペインクリニック 40(3):383-395, 2019

2)松下健, 田中誠也:理学療法適応の肩関節周囲炎における痛みの破局的思考と臨床的特徴との関連. 慢性疼痛 42(1): 24-31, 2023.

3)春名匡史, 立花孝:肩関節周囲炎に対する理学療法診断の進め方. 理学療法 38(1): 39-46, 2021

4)服部貴文, 他:肩関節痛の運動療法. ペインクリニック 42(4): 505-511, 2021

5)北坂彰彦, 他:肩関節障害に対する臨床思考の進め方とそのポイント. 理学療法 40(3): 229-236, 2023.

6)神戸克明:第16回 肩関節周囲炎 自宅でできるリハビリテーション.Loco CURE 9(4): 370-375, 2023.

7)稲葉長彦:結帯動作制限を生じた肩関節周囲炎一症例に対する治療戦略.理学療法の科学と研究 14(1): 57-61, 2023.

Q1. セルフケアを続けていますが、なかなか改善しません。なぜですか?

A. 五十肩によるリーチ動作の痛みには、後方関節包の硬化や脂肪組織の癒着、肩甲骨の連動不全など、セルフケアでは届きにくい原因が複合的に関わっていることがあります。原因を特定した上で、専門的なアプローチを行うことがとても重要になります。

Q2. 放置していればそのうち治りますか?

A. 研究では、発症から7年が経過しても35〜50%の方に痛みが残存しているというデータが報告されています。また、放置によって腱板断裂などのより深刻な状態に移行するリスクもあるため、早めの対応をお勧めします。

Q3. 痛みが強くても動かした方がいいですか?

A. 痛みの時期や状態によって異なります。炎症が強い時期に無理に動かすと症状を悪化させることがあります。まずは現在の状態を専門家に評価してもらい、その時期に合った適切な運動を行っていくことがとても大切です。自己判断での無理なストレッチは避けるようにしてください。

ご予約・お問い合わせ

店舗名E-Reha(イーリハ)
営業時間8:30~20:00
定休日不定休
住所〒880-0844
宮崎県宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸D2-1
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